戦後日本は、戦災戦禍によって崩壊した社会資本の復興再建が国是でした。輸送需要は、これにともなって爆発的に急増しました。弊社においては、河川工事やダム工事、県庁や市役所の建設工事が相次ぐなか、原木(材木)やセメント、砂利、砂などの建設資材が、輸送する貨物の多くを占めていました。また、福井県の沿海地区に陸揚げされる海産物を、すばやく京阪神地区に大量輸送したりと、荷主にトラック輸送を貸切る運送事業(一般貸切事業)を主体に、設立初期の事業は展開しました。やがて、小口荷物の輸送需要が徐々に増え、これを一軒一軒発荷主から集荷し、それぞれ行き先別に仕分け、さらに各方面別に大型車に積み合わせて発送し、着地において各着荷主ごとに配達するという運送事業(路線事業、定時定路線小口積み合わせ事業)に、貨物輸送の形態をシフトさせていきます。北陸地場の発荷主さまのその殆どは、商事上の貨物輸送(商業物流)を必要とするお客様であり、製品・商品を京阪神地区間で輸送することが、弊社の現在の根幹となっている路線業務です。
その後、商業物流の需要も多様化し、例えば地場産の繊維やめがねなどのように海外への輸出が活発化するにともなって、弊社は通関業務をはじめ輸出入貨物の取扱いを開始します。また、お客様によっては、毎日の膨大な貨物を移送するのに、一車貸切で定時定期の輸送を求めたり、なかには食品の鮮度を維持するために保冷輸送など特殊輸送を求めたりする例が増え、これについては区域業務として取り組んでまいりました。
商業物流の分野では、弊社は、発荷主さまのビジネスパートナーです。弊社の輸送品質の良し悪しが、着荷主さま、あるいはカスタマーの製品・商品についての品質評価に影響します。弊社は、「北陸ならラニイ福井貨物」と支持される、パートナーでありたいと願っています。
貨物自動車運送事業をとりまく環境は、劇的に変化しています。とくに1990年以降は、運賃・料金の過当競争が恒常化する一方、より高度な、多岐にわたるサービスが求められてきております。また、輸送の安全確保のための「スピードリミッター」装着や、環境対策のための低公害車導入、「粒子状物質減少装置(DPF、酸化触媒)」装着といった責務が次々と課せられております。くわえて軽油など燃料費の高騰にみられるような収益を圧迫する要因に絶えずさいなまれ、自らの変革を望まなければ、福井貨物自動車の将来はありません。
こうした環境にある弊社だからこそ、社員には「仕事に対する責任」を厳しく求めます。コンプライアンス経営は、会社組織として当然の責務ですが、それを構成するのは社員一人ひとりの倫理観です。その一方で、社員には、会社の一体感をもって「温もり」を提供したいと考えています。家族的な『和』を重んじた経営は、古き良き習慣です。社員一人ひとりが主役であり、かけがいのない存在です。「明るく楽しく働ける」職場の実現を約束します。
弊社は「事故のない安全な会社」を目指します。お客さまから輸送を託された大切な財産を、「事故無く、安全に、確実に、迅速にお届けする」という運送の原点を決して忘れないこと、それが真の意味で、信頼につながると確信しています。
弊社には、一層の「安全」が求められるだけでなく、「環境」に対する配慮も欠かせません。エコドライブの推進では、福井県下の事業者の先駆けとなりましたが、それだけでなく、日々の5S活動のなかに、ごみのリサイクルや分別といった3R運動の推進を取り入れ、「社会と共生する会社」を目指しています。その一端は、燃料費の削減など事業収益にも貢献しますが、何より社員の自覚と行動が、社会に働きかけることで、一人ひとりが、社会との共生に目覚め、共に会社組織の活性化がかなうものと考えています。こうした日常活動を含む物流という事業を通じて、社会に貢献したいと願っています。
会社設立以来、半世紀を超え、創業から数えれば、やがて80年となります。創業以来、弊社は、「命がけで北陸の貨物輸送」を担ってきました。多くの先達から綿々と引き継いできたラニイのDNAは、弊社の誇りです。
新たな時代は、貨物自動車運送だけでなく、外国と内国を一貫する物流、運送だけでなく倉庫機能などを含む物流、さらには輸送・保管・梱包・荷役・流通加工・情報管理までも含むトータル物流を望んでいます。弊社は、貨物自動車運送だけでなく、1980年(昭和55年)には通関業を開始、また1996年(平成8年)には倉庫業を開始しています。これらの事業で培ってきたノウハウと、それを支えてきた施設・設備が、これからのトータル物流の提案に有効であると考えます。弊社の目指すのは、“北陸の雄”です。